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【小説】日独最終戦争1948 奇襲編〈A1〉

日独最終戦争【旧ブログからの転載記事です】

 はじめて単行本にしていただいた小説。事実上のデビュー作ですね。発売元は学研。

 まだ名義が「坂東いるか」になっております。「板東いるか」さんというBL系の漫画家さんがいてまぎらわしいので、このお仕事の直後にいまのペンネームに変えました。

 で、まあ、本作なんですが。

 

 ちょっとややこしいんですが、実はこれ、米国XTR社から発売されていたボードのシミュレーション・ウォーゲーム『1948:日独最終戦争』(英語版は絶版、日本語版は国際通信社コマンドマガジンから発売)の日本オリジナルノベライズという、非常に珍しい企画であります。

 

 この世界では、第二次世界大戦で東部戦線が発生せず、ドイツはソ連と結んだままイギリス上陸作戦に成功して欧州を席巻。同盟国・日本もおこぼれで米国に勝利。アメリカ本土は東西から分割されちまいます。

しかし平和が訪れたのもつかの間、一躍世界の覇者となったドイツと日本の関係は険悪になり、日本領となったアメリカ西海岸勢力をはじめ、亡命イギリスに亡命フランス、その他英連邦諸国なんかは日本を後押し。

この対立に、先の大戦では無傷で国力を畜えていたソビエトが加わって、日・独・露による3つ巴の世界分割競争がはじまる、というもの。

まあぶっちゃけ、架空戦記の金字塔『レッドサン・ブラッククロス』の焼き直しのような世界観なんですが。

 実際ゲームデザイナーのタイ・ボンバ氏は、原作となるゲーム版の『レッドサン』にインスピレーションを受けたことを匂わせており。また後年になると、『レッドサン』の方にも『1948』の影響がうかがえたりするそうで、まあ両者はそういう関係だったりします。

 ノベライズにあたっては、設定監修をゲーム版の日本紹介にも関わった戦史ライターの松代さんが行い、坂東ら複数のライター陣が執筆にあたるという構成でして。

 当初の計画では、太平洋での艦隊戦(Aパート)を坂東が、アメリカ戦線(Bパート)を桂令夫さん、中東・インド洋での進行作戦(Cパート)を牧秀彦さんが担当し、それぞれ並行して書き進めて、短期的にガンガン出版していく予定でした。

 その後、ABCの戦線全域にわたる俯瞰的な「ABC総力戦パート」が2巻出て、小説版のシリーズ展開は終了しております。

 で、坂東はシリーズのトップバッターとしてAの1巻を書かせていただいたんですが。いやもう、なにせ初めての書き下ろしノベライズで、しっちゃかめっちゃかになりまして。

 もともと執筆陣の間では、「既存の架空戦記のノリではなく、戦記冒険小説のノリで、個別のキャラクターのドラマに焦点をあてていこう」という合意があったんですが。

 それにしてもこの巻はいろいろと説明不足というか、リサーチが甘いというか、描写が薄いというか、ぶっちゃけ全然架空戦記ぽくないと読者に酷評されまして。

 かといって戦記冒険小説としてもナンダコリャというできばえ。

 あまりにも恥ずかしすぎて、いまだに自分で読み返すことができません。

 恥ずかしながら、内容について一応書いておくと。

 第2次世界大戦が終結して3年。ドイツとの開戦を前に、日本海軍は潜水空母部隊によるパナマ運河奇襲破壊作戦「ハ号」を企図。大西洋を庭とするドイツ海軍の太平洋進出を阻止しようと考えた。

 満を持して密かにハワイ真珠湾基地(!)を立った日本潜水空母部隊だが、しかし隠密行動中に偶然ドイツ機に発見される。

 なんとかドイツ機の撃墜に成功する日本軍だが、救助したドイツ軍パイロットは金髪の女性将校だった。日本軍はこの女性将校との接触が偶然ではなく、なんらかの特殊任務を帯びたスパイではないかと疑うが……。

 というようなお話。

 まあ、それはそれとして。

 へそまがりな坂東は、架空戦記としてはかなりイレギュラーなことをいろいろやっておりまして。

1.日本軍視点の話なのに、主人公が日本人以外で、しかも女性。(これは当時、非常に珍しいことでした)

2.オリジナルの派手な超兵器が出てこない。(「潜水空母」が出るには出るのですが、これは史実に存在した兵器だし)

3.しかも日本軍の作戦が失敗して、ドイツにめちゃくちゃにやられる話。

 とくに2.と3.は、架空戦記小説に対して「史実より圧倒的に強い日本軍が、勝って勝って勝ちまくるカタルシス」を期待している向きには、とにかく不評でして。さんざんだったわけです。

  ところが、どうも以前からのPBMなんかのファンの方だと思うんですが、女性読者からぽつぽつファンレターなどいただきまして。編集部でも「大御所でもな いのに、女性読者からこういう反応がきた架空戦記はあんまり例がない」と驚かれたり。そういうのも含めて、いろいろとイレギュラーな作品でした。

  でまあ、その後すぐさまAパート2巻目の話を書かなきゃいけなかったんですが。なまじっか「どうやったら、みんなが期待しているような架空戦記ぽくなるん だろう」とぐるぐる考えてしまい。プロットはなんとかできたものの、ぜんぜん筆が進まず、いつまでたっても書き終わらないのです。

 そうこうするうちに締め切りを過ぎてしまい、業を煮やした編集部の意向によって、2巻は牧秀彦さんにバトンタッチして書き上げてもらうことになりました。いやはや、穴があったら入りたい大失態。  

牧 さんとしては、全体の戦況さえふまえていれば、まったくオリジナルのキャラとストーリーで書いてもよかったはずなのですが、こちらのプロットを最大限にく んでもらい、キャラもA1の後日談といった形でA2を書きつないでくれました。このあたり牧さんには大変感謝しております。

 ただその結果、一部では「牧=坂東なんじゃね?」みたいなことも囁かれてしまい、牧さんに多大なご迷惑をおかけしてしまったことを、この場を借りてお詫び申し上げます。ごめんなさい。

 ちなみに牧さんはご自身が居合術の達人でして、刀剣や古武道関係の書籍などで活躍されているライターさんでもあります。

 むろん坂東とはまるきりの別人なので、方々もお間違えなきよう。

 そんなこんなで、坂東にとっては黒歴史として片づけたい本作ですが、キャラクターにはそれなりに愛着もあり。

 たとえば行方不明になったゾフィの兄貴と再会する話とか、いろいろ書いて見たい話があります。そのうちこっそり掘り起こすかも。

 ところで本文中にゾフィの台詞で「リトアニアは小さくて弱い。あのポーランドよりも」と書いたら、桂さんに「いや、中世には大帝国だったじゃないですか」とツッコまれたんですが。

坂東的にはポーランド=リトアニア連合帝国については、その最初期はともかく、途中からはすっかりポーランドに併呑されてリトアニア色はほぼ消えうせてしまったわけで。あれをリトアニア人の帝国とは到底思えんのでありますよ。

 まあそれでも、リトアニアが歴史の表舞台に立った数少ない機会であったのは事実ですけれども。

 このへん、ポーランド好きの小太刀右京さんなんかはどう考えてるのかしらん。今度聞いてみよっと。

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