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鈴木銀一郎さんのこと。

 今日はひとつ、日本で最初に「ゲームデザイナー」を名乗った方、銀爺こと鈴木銀一郎さんにまつわる昔話をば。

 坂東はこうみえて、元はシミュレーションゲーマーでして。というか、昔のゲーマーはみんなウォーゲームからRPGに入ったのですけども。海軍好きの友人の家にあったバンダイの『連合艦隊』でゲーマーとして開眼しました。たしか82年のことですからリアル中2のときですね。
 なにせゲーム相手がその友人しかいなかったもんですから、いきおい海戦ゲームを中心にプレイしていたのですが、中でもお気に入りは鈴木さんデザインのエポック『日本機動部隊』でした。あの空母戦の再現度合いとギリギリまでの削ぎ落としのバランスの美学は、たまらんものがあります。索敵マーカーの「艦種誤認」とか、対空砲火時の「攻撃機のロス&照準が狂う」が同じ表でわかっちゃうとか、損害を受けた艦艇がステップロスして裏返って中破とか、小ネタのひとつひとつがもう。一体どれだけテストプレイを繰り返せば、あそこまで洗練されるのだろうかと。あんまり好きすぎて、『RPGamer』誌で紹介記事まで書かせていただいたく らいです。
 まさかその神デザイナーに後年お会いできることになろうとは、田舎の中学生ゲーマーとしては思ってもみませんでしたが。

 さて、時代は少し流れて85年。日本にもRPGの波がおしよせていました。
 当時はなにしろゲーム情報に飢えていましたから、季刊時代から『シミュレーター』誌も買っていたのですが、誌上で例の『七つの祭壇』の記事に出会ってしまいまして。あれはなんというか、大変な衝撃でした。ゲームというハードはチラホラ出そろっていたものの、いかにしてそれを遊ぶかという ソフトが圧倒的に不足していたあの時代、迷える仔羊だった我々にとって『七つの祭壇』は大いなる福音でした。「あ、やっぱりこれでいいんだ!」「うは、こんなのもアリなのか!」と。記事を書いた藤浪智之さんたちには無論のこと、当時としてはアバンギャルドすぎるあの記事を誌面に掲載する英断を下した当時の編集長・鈴木さんには、いくら感謝してもしたりないくらいです。

 その後、いろいろあってアナログゲーム業界の末席に身をおくことになった坂東ですが、あるとき(たしか96年頃)たまたま富士見書房で開催され たMAGIUSの宣伝コンベンションに、賀東招二氏の代役として、氏のデザインした『MAGIUS蓬莱学園RPG蓬莱83分署』のゲームマスターとしてゲスト参加することになりまして。(その前の晩に初めてルールブックを受け取ったというのは抜群に秘密です)
 その会場で、ほかのゲストさんたち、つまり大勢のプロのRPGデザイナーのみなさんと顔合わせさせていただくことになったのですが、そこに藤浪さんや朱鷺田裕介さん、山北篤さんといった錚々たるメンバーに混じって、鈴木銀一郎さんがいらしたのですね。
 たしか『MAGIUSモンスターメーカー学園RPG』を藤浪さんがデザインした関係で、原作者というお立場でこられていたんだと思いますが(まだ当時は鈴木さん自身はRPGにそう深く関わっておられなかったようです)、坂東としては「ギャース、本物!」と衝撃のあまりろくにご挨拶もできず。あげくに鈴木さんからイベント後の打 ち上げの席にお誘いいただいたにも関わらず、そのときはどうしても外せない別件の仕事の打ち合わせがあり、泣く泣くご辞退申し上げたりもしまして。あのと きは大変失礼いたしました。ぺこぺこ。

 その後、しばらく坂東がRPG方面から遠ざかっていたこともあり、鈴木さんともあまりお会いできる機会がなかったのですが、2001年頃から坂東がJGCなどのイベントにちょこちょこ顔を出すようになったおかげでお話できるチャンスに恵まれ。百木くんたちの『ゲームガレージスケープ』や、その後の飲み会で何度かご一緒させていただき。すっかり酔っぱらい仲……ああいや、楽しいお時間を過ごさせてもらいました。
 いつぞや明大前の沖縄料理屋で打ち上げをしたときに、たまたま隣の席にいあわせた明大生になにを勘違いされたのか「どちらの先生ですか?」と 聞かれ、酔い混じりに「日本初のゲームデザイナーの先生です」「漫画でいえば手塚治虫みたいな人」などと放言したことを覚えています。いやでも、あながち 間違ってないですよね? ね?

 坂東が福岡に引っ越してからは、お会いできるチャンスはなくなってしまったのですが(2月の大分中津のイベントではご一緒できるはずだったのですが、こちらの都合で参加できなくなり)。ぜひまたあの勇壮な飲み会の締めっぷりを拝見したいものです。

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