TRPG

【TRPG】特命転攻生

特命転攻生【旧ブログからの転載記事です】

 2001年エンターブレイン刊(¥4800)のハイパー学園TRPG。

 世に「学園モノ」というジャンルは無数にありますが、それらはたいてい「リアル学園モノ」と「ハイパー学園モノ」に分類できます。

 前者は、現実の学園生活の延長線上にある物語のこと。実在する学校にも(ちょっと無理すると)いそうなキャラが、実際に起きうるような事件を引き起こします。『金八先生』とか『ごくせん』なんかはこっち。TRPGだと『学園ぱらだいす』なんかがこれにあたるわけで。

 後者は、おなじ学園モノでも「そりゃーいくらなんでもありえないよ!」という物語のこと。現実にはありえないムチャな設定のキャラが登場し、物語も学園の枠 にはおさまらず、外宇宙や異次元に飛び出したり、悪魔や巨大ロボが闊歩するという具合。『魔法先生ねぎま!』とか『うる星やつら』なんかがそうですね。 TRPGだと『番長学園!!』とか『CLAMP学園TRPG』なんかがこれにあたり。

 まあ、両者のボーダーに位置するゲームとしては、『放課後怪奇くらぶ』『放課後奇譚RPG』なんかの怪奇ホラー系TRPGがくるわけですが。話がややこしくなるので、そのへんはこの際、おいとくとして。

 もうちょい分かりやすく言うと、汗と努力と友情でインターハイを目指し、合間にラブコメするのがリアル学園モノで、10万年生きた仙人の下で修行した末に掌から気弾が射てるようになるのがハイパー学園モノといったところかしらん。

 で、そのハイパー学園モノの文脈に、『スケバン刑事』『炎の転校生』『ウルフガイ』などに代表される、学園潜入モノ、転校生モノの文脈を掛け合わせたのが本作、『特命転攻生』というわけです。
 つまりPCは、拳で地面を叩き割る番長だったり、八分身する忍者だったり、転生の記憶をもつ超能力者だったり、バトンで敵をしばく魔女っ娘だったり、人間にあこがれる戦闘アンドロイドだったりするわけで。
 そんな彼らが何の因果か政府(裏文部省)の手先となって、日本中の学園を騒がす悪と戦うというお話。

 まあ、この説明を読んで分かるとおり、『特命転攻生』があつかうのはそれほど独特なクセのある世界観ではなくて、むしろアニメや漫画やラノベでありがちなシチュエーションを再現・追体験するための「あるあるネタ」の世界なのです。
 まあ、このへんのなんでもありさ加減がPBM企画的というか、いろんな意味で坂東的というか。シナリオネタには困らないですけどね。

 この企画、最初はエンターブレインさんからのオファーで始まりました。
曰く、「かっての蓬莱学園のようなハイパー学園モノで、まったく新しい企画をやれないか?」「(蓬莱学園がそれで成功したように)最初からノベルと連動企画で進められないか?」というもの。
 で、それを受けてエルスウェアで開発することになったのですが、やはり蓬莱学園と同じアプローチではおもしろくない。
というわけで、徹底的に蓬莱学園の逆を行ってみることにしました。
 つまり、

[蓬莱]絶海の孤島にある10万人の巨大学園が舞台
[特命]10ある特務高校出身の生徒たちが、日本中の高校を舞台に活躍

[蓬莱]生徒は授業そっちのけでクラブや委員会活動に精を出している
[特命]生徒は授業の一環として単位を取るために任務につく

[蓬莱]生徒は良い意味でのアマチュアリズムを追求し、みんな趣味的
[特命]生徒はプロのエージェントとして、使命感と己の感情の間で葛藤する

[蓬莱]生徒は学園のどこかしらに帰属し、自分の居場所を作っていくのを目標とする
[特命]生徒は毎回、高校から高校へと渡り歩き、居場所を残さない。代わりに仲間同士の絆を深めていく

[蓬莱]ゲームシステム上もシナリオ上も、戦闘はさほど重要ではない(そもそも戦闘ルールという概念が存在しない)
[特命]激しいバトルが中心。システムもシナリオもバトルという見せ場に至るまでの道程でしかない

 てな感じ。

 というわけで、2001年夏にTRPG版が完成し、同時にファミ通文庫からノベル版『特命転攻生~人別帖は燃えているか?』(新城カズマ/進藤キミテル)が発売されまして。
その後、アトリエサードからTRPGサプリメント『特務高校入学ガイド 赤版・青版』なんかも出させていただきました。もちろん、すでにお分かりのようにこれは受験資料として有名な「赤本・青本」のパロディ。学園モノということで、作り手もいろいろ楽しませていただきました。
 また、2002年にはエルスウェアでPBM版『特命転攻生evo.夜明けの学生証』(ゲームキーパー:氷鳥隆一、黒川実)が運営されました。

 ぶっちゃけ、坂東のエルスウェア退社に伴い、TRPG版の公式サポートが発売後1年くらいで停止してしまったこともあり、蓬莱学園ほどのブームを巻き起こすことはできませんでしたが。
 それでも、そこそこ好評をいただけたようで、今でもネットで検索するとTRPGのリプレイや自作シナリオをのっけてくださっているファンサイトがちらほら引っかかってきます。



 でまあ、前回のブログでも書いたけど、現在、システムやデータを整理した第2版を企画中です。
 詳細は未定ですけど、情報はこのブログにものせていく予定なので、よろしく。



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【TRPG】秘神大作戦

秘神大作戦【旧ブログからの転載記事です】

 2003年春発売のTRPGです。制作はエルスウェア。発売元はエンターブレイン。価格3000円。
 坂東は企画プロデュースとゲームデザインを担当しています。

 詳しい世界観やゲーム性は、こちらの公式サイトでの紹介を見ていただくとして。

 ぶっちゃけ、坂東としては大正時代を舞台にレトロでヒロイックなバトルアクションをやりたかったのです。『夢幻紳士・冒険編』とか『翡翠狂奇譚』のような。
 で、クトゥルフ神話ぽい世界観をベースにして、そこに魔術と超能力と超科学と巨大ロボとメイドと巫女をぶちこんで、ぐつぐつとごった煮……を目指したのですが。
 どうも欲張りすぎたせいか、うまく煮込みきれなかった感じで。世界観はかろうじて形になっているものの、肝心のTRPGのシステムとしては、正直ガチャガチャした、バランスとまとまりの悪い物になった気がします。ぶっちゃけ、テストプレイが足りませんでした。

 まあ、前作『特命転攻生』のときと比べて、予算と時間が限られていたなんてのは言い訳になりませんし。
 あと個人的な話をすると、この時期ちょうど公私ともに色々あって鬱になったり、エルスウェアを辞めたりしてるので、それもかなり影響してますが。ともあれ、反省点の多い作品です。

 とはいえ、世界観の方向性としては間違ってなかったと思うし、それなりに愛着のあるキャラや設定もあったり。いまだにファンだと言ってくれる人もいるので、ありがたい話です。
 あと、これをやったおかげで『クトゥルフ神話TRPG』のお仕事にも参加させてもらったという経緯もあるので、個人的には意義のある作品でした。

 本作は『特命転攻生』同様、企画当初からノベライズ版とタイアップして展開することが決まっており。ファミ通文庫から『秘神大作戦 歌う虚(うろ)』(木村航)が同時発売されました。
 これは木村氏の小説デビュー作にあたる本で、その点でも意義深い企画だったと思います。
 まあ、ゲームの方はともかく、小説版は単体でも楽しめる、大怪獣帝都にあらわる的な娯楽大作に仕上がっております。御薦め。

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【TRPG】クトゥルフ神話TRPG:クトゥルフと帝国

4-7577-2582-5【旧ブログからの転載記事です】

 『クトゥルフ神話TRPG』を、1920年代(大正~昭和初期)日本で遊ぶための資料集&キャラクター作成ルール&データ&シナリオ集。
 2005年12月発売。
 お値段は3990円。

 まあ、テーブルトークRPGがナンなのかは、こことかここあたりを見ていただくとして。
 あと、クトゥルフ神話がナンなのかは
このあたりで。

 『クトゥルフ神話TRPG』と聞いて「ん? それって『クトゥルフの呼び声』とは違うの?」と思った人は、わりと古くからのゲーマーかも知れません。

 実はその昔、ホビージャパンから和訳が出ていたテーブルトークRPG『クトゥルフの呼び声(原題:Call of Cthulhu)』の最新日本語版が、2004年9月にエンターブレインから発売された『クトゥルフ神話TRPG』でありまして。
 内容的には、技能や選択ルールなどの細かい改定や追加資料があるものの、基本的なルール部分は、ほぼ以前からのゲームと変わらないものであります。あと、おまけとして原作小説の『クトゥルフの呼び声』が冒頭についているくらいか。
 まあ、以前のHJ版をもってる人は無理に買わなくてもいいし、これからチャレンジしたいと思ってる人は最新のエンターブレイン版を買えばよし、といったもの。

 で、その『クトゥルフ神話TRPG』を戦前日本を舞台に遊ぶためのサプリメントが本作というわけ。

 ちなみに『クトゥルフと帝国』というタイトルは、もともとHJ版時代に企画されたものですが、その後紆余曲折ありまして、現在のような形に落ち着いたという次第です。

 ページの過半数を占めるのは実に、戦前日本を政治・軍事・経済・教育・生活・法律・交通・オカルト・物価などなど、さまざまな角度から解説したワールドガイド部分でして。それぞれがゲームに必要な程度にほどよく概説してあります。

 まあ、あくまで概説なので、歴史マニアならどれもこれも周知の事実かも知れませんが、いちいち資料をそろえるよりは一冊にまとまっていたほうが使いやすい のは言うまでもなし。TRPGだけでなく、ゲームとか漫画とか小説とか、いろんな創作活動に役立てていただけると思いますよ。いやほんとに。
 このほか、1920年代日本の探索者を創造するためのルールと、シナリオ作りやロールプレイのアドバイス、専用キャラクターシート、シナリオが3本付属しています。

 坂東が担当したのは、キャラクター創造ルールの箇所です。

 基本ルールからの大きな変更点としては、職業の分類をそれっぽいものにした(官僚、カフェーの女給、女学生、特高、渡世人、奉公人など)こと、技能<マーシャルアーツ>を少し改めて、<武道>にしたことでしょう。
  <武道>は、<空手><柔道>などに細分化されており、それぞれ60%以上修得すれば特殊効果を発揮することができます。とはいえ、修得にはかなりのポイ ントを要する上、その効果はわりとおとなしめで(キックの威力が2d6もありますが、これは基本ルールでもそうなっているので……)、そもそも怪物相手に はあまり効果がなく、ゲーム全体の戦闘バランスを崩すものではありません。むしろ探索者のキャラを立てるためのフレーバーとしての意味合いが強いもので す。
 まあ、同時代のアメリカなんかと比べると銃が手に入りにくい世界観なので、<武道>をたしなむ探索者は多くなるかも知れません。

 また、各職業に詳細な説明と、探索者となる動機づけ、イメージイラストをつけたので、
「書生というのは、ふだんどんな格好でどんな生活をしてるんだ?」
 などと悩む必要がありません。

 あと細かいこというと、基本ルールより所持金がシビア(というかリアル)に設定されています。
 官僚や資本家はともかく、一般の探索者は自動車を買うにも一苦労するはず。日本はまだまだ貧しかったのです。探索の動機としては、金銭的報酬がかなり重要になってくるかも知れません。


 まあぶっちゃけ、このお仕事の前に、『秘神大作戦』で大正ものテーブルトークRPGをエンターブレインから出していたので、おなじ大正つながりということで坂東にもお呼びがかかったわけですが。
 時代性は両作品ともほぼおんなじなんですが、巨大ロボなんかの登場する『秘神』と『クトゥルフ』は世界観がかなり違うということもあり、『秘神』とはまた少し違った角度からルールを作成することになりまして。なかなか楽しませていただきました。
 戦前ものは大好きなジャンルの一つなので、いずれまた何らかの形で(例えばラノベとか)やりたいと思っています。



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 買おうかどうしようか悩んでいる人は、先に
内山靖二郎さんによるリプレイ『白無垢の仮面』を読んでみてはいかがでしょうか。
白無垢 こちらはお値段も998円とお手ごろですし、『帝国』の雰囲気をたっぷり味わえると思います。

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【TRPG】クトゥルフ神話TRPGシナリオ集『七つの怪談』

七つの怪談 【旧ブログからの転載記事です】

 『クトゥルフ神話TRPG』用短編シナリオ集。
 国産シナリオ集としては約20年ぶりになる待望のサプリメントです。
 新紀元社から2007年12月発売で、お値段は2625円。

 内容は「怪談」をテーマに、7人のライターが各々オムニバス形式で短編シナリオを競作するという趣向になっています。

 舞台はすべて日本。時代背景は『帝国』=大正~昭和初期ないし現代をあつかっています。
 執筆陣がまた豪華で、企画・監修の坂本雅之さんをはじめ、内山靖二郎さん、友野詳さん、川人忠明さん、朱鷺田祐介さん、高平鳴海さん、倉樫澄人さん(掲載順)というラインナップ。
 「怪談」の解釈については各ライター陣にまかされており、都市伝説あり、純然たるホラーあり、古典的怪談あり。いずれも正調クトゥルフシナリオからは(意 図的に)やや外れる感じですが、ようするにこれ、本家ケイオシアムから発売されているサプリメント『13の恐怖』を意識した体裁なのですね。

 『13の恐怖』というのは、みんなでヒッピーになってゾンビに占拠された田舎のスーパーマーケットから脱出したり、映画俳優になって肉食恐竜だらけの密林 を踏破したりといった、ハリウッド映画的「いかにも」なホラー&パニック映画のノリを楽しもうという、邪神ともコズミックホラーともおよそ無関係なパロ ディ色の強いシナリオ集でして。
 まあ、今回の『七つの怪談』はそこまでハチャメチャな悪ノリはしてないので、初めてクトゥルフをプレイするという人にもあまり誤解を与えない内容におさまってると思いますけど。

 坂東が担当したのは『夜ごと来るもの』というタイトル。
 牡丹灯篭に題材をとったシナリオなんですが、そのまえに坂本さんから
「なにか雨月物語ぽいのができませんかね。男女の情念がドロドロといったウェットな感じの」
 などともちかけられまして。
 「ははあ、それでは」と書いてみたんですが、できあがったのを見ると、他のみなさんのようにヒネったことをなんにもしておらず。
 まあ、ほとんど一本道なので、ちょっと慣れたキーパーなら転がしやすいシナリオだと思いますが。なにかアッと驚くどんでん返しくらいは用意しとけばよかっ たかなあ、と少し後悔しております。一応、初心者プレイヤー向けを意識したんだけど、結果としてあんまりそうでもないしな。

 まあ、坂東のやつはともかく、7本も新作シナリオが入っているというのはキーパーにとっては朗報でしょう。
 いずれも10ページ前後で、4~6人程度のプレイヤーを相手に3~5時間程度のセッションで遊べるよう調整されていますし。キャラクター作成に1時間かけたとしても、充分半日で終わるサイズ。コンベンションでのプレイにも適していますよん。

 というわけで、買うべし。遊ぶべし。


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